何かに立ち向かう意思があるかぎり、そうした恐怖がつきまとうのは自然なことだろう。それでも”なぜ私がことにあたらないでおられよう”と考える人間こそが、「人類の道徳的進化」を果たす。そういう人間たちの集積が、この社会を豊かにし、そして安らかにするのだ。わたしにも好きな言葉があった。学生時代に読んだ『歴史の研究』の中でアーノルド・トインビーはこう書いている。〈生の最中、我々は死の中にいる。誕生の瞬間から常に人間は、いつ死ぬかわからない可能性がある・そして、この可能性は必然的に遅かれ早かれ既成事実になる。理想的にはすべての人間が人生の一瞬一瞬を、次の瞬間が最後の瞬間となるかのように生きなければならない〉次の瞬間が最後の瞬間であるのなら、どの瞬間も光り輝く至上の時間なのだ。
白石和文著 一瞬の光より。
完全なる意思には常に自信ではなく計り知れない恐怖が付きまとう。それが完全なる強い意志を抱いているある意味の証拠なのかもしれない。
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